04 精密世界遺産 開発秘話



この度、ばーちゃわーるどでは

デジタルファブリケーションを駆使した

1/1000世界遺産模型「フィレンツェ大聖堂」の発売を決定致しました。



約1年9カ月かけて開発した商品です。


大きな初期投資をする事無く

個人が大手メーカー並(自称)の品質の模型を製作する一例として、

今回公開しました製作手法が

個人メーカーの発展にわずかでも参考になれれば幸甚でございます。


それでは発売に至る開発の足跡をご紹介致します。





スクラッチ模型



元々ばーちゃわーるどでは
市販されていない世界遺産を
スクラッチ製作しておりました。

プラバンやスチレンボードを
図面から切り出して製作する為、
一作品につき半年~10カ月程度かかるのが普通でした。


個人輸入した3Dプリンター
(Solidoodle)


そんな折、家庭用の3Dプリンターが
発売されるというニュースがありました。

3Dプリンターは知っていましたが
1台1億円程度の高価な設備との認識でした。

個人でも市販されていないキットを自由に製作できると考え
すぐに米国へ個人輸入の手続きを取りました。



独学した3D-CAD


納品まで5ヶ月程かかるという事だったので
この間にフリーの3D-CADを学び
ネットで図面や写真情報を収集し
データの作成を急ぎました。



3Dプリントテスト


待つ事約半年…
3Dプリンターが納品され
すぐに試作していたデータを試しました。

ある程度の形状は思い通りに造形できましたが
家庭用3Dプリンターでは
溶かしたプラスチックを固める方式の為
細かい部分まで満足のいく精度を出す事が
できませんでした。



中国から取り寄せた
格安レーザーカッター


そこで、
細かい部分はレーザー加工と組み合わせる事を考え
中国からレーザーカッターを輸入したのですが、
これはうまくいかず、導入を断念しました。

その辺のいきさつは こちらにまとめてあります。


独学した3D-CAD


しかしながら
レーザー加工の価格・精度は非常に魅力的でしたので
レーザー加工自体は専門家に委託する事にしました。

コスト・精度を満たす外注先を探すのに時間がかかりましたが
何とか精密部品の加工に目途が付きました。

ただし、ほぼ寸法通りに加工できるレーザー加工に対し、
家庭用3Dプリンターの部品は0.2㎜程度の誤差が生じ
組み合わせに微調整が必要な事が分かりました。




米粒より小さい彫像

更に、光造形の外注価格が
非常に安価となっている事を知りまして、
正面ファサードの造形を
光造形の専門業者に委託する事にしました。

この部分はレーザー加工でも加工出来ない程精密で
どうしても産業用の設備を利用する必要がありました。

コスト・精度を慎重に吟味して発注先を選定し
完璧な造形を再現する事が出来ました。

その辺のいきさつは こちらにまとめてあります。




【開発年表】

2012/3

米国Solidoodle社、格安3Dプリンター販売開始($499)

2012/4

同3Dプリンターを注文

2012/4

3D-CADソフト「Google Sketchup8」 修練開始

2012/8

3次元データ「フィレンツェ大聖堂」試作版(Ver1.0)完成

2012/9

Solidoodleが納品され3Dプリント試作開始

2012/10

家庭用3Dプリンターのみでは高精度な造形に限界がある事が分かる。

2012/12

格安レーザーカッター購入

2013/1

レーザーカッターの導入をギブアップ

2013/4

レーザー加工の専門業者に見積もり依頼

2013/8

レーザー加工用に3Dデータ→2D図面を分割(Ver2.0)

2013/9

レーザー加工部品と3Dプリント部品をマージし、全体の結合部を微調整(Ver3.0)

2013/10

光造形の専門業者に見積もり依頼

2013/10

特に精密なファサード(正面)部分を光造形にて作成

2013/11

原型完成し、シリコンゴムでテストショット成功

2013/12

2014ワンフェス(冬)にて発売決定・量産開始







【技術うんちく】

3D-CAD


本作成方法は3Dデータを作成できる事が前提となります。

図面を見て正確にモデリング出来るだけでなく、

(FDM形式で)綺麗に3Dプリントできる形状である事が必要です。

※アンダー形状はなるべく避ける、精緻な凹凸は垂直面に製作しない 等々

レーザー加工


3D-CADデータから部分的に2D-CAD図面化します。

その際、使用するレーザー径やパーツの間隔に注意します。

FDMで作成された造形品との微小な噛み合わせに注意して設計する必要があります。

3Dプリンタで造形する部分とレーザー加工する部分の区分けの設計は多少センスが要ります。

光造形


データモデリングの際、サポート材の付く位置がディテールと被らない事が重要です。

また光造形部分のサイズによって全体のコストが大きく跳ね上がるので、

光造形する部分は可能な限り限定された形状にとどめるべきです。

光硬化樹脂は脆く非常に壊れやすいので、キャストの際は慎重な取り扱いが必要です。






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